令和元年12月25日 関門海峡を渡る

関門海峡に行きたいと思ったのはいつからだろう。初めのきっかけがなにかも忘れてしまうぐらいだ。職場の人が静岡空港7時35分発→福岡空港20時発で旅行に行ったのを聞き、それなら日帰りでも行けるのではと思った。

 今年の5月るるぶトラベルで航空チケットとホテルをセットにするとお得だと聞く。

8月職場の人が博多旅行に行った話を聞く。

 秋のハイシーズンは値段が高く空き無し。たまたま調べた12月冬休みの25日が穴場だったこと。不思議と繋がってゆく。けれどもそう簡単には旅立てない。

 

24日終業式を終え帰宅途中、偶然にも車のディーラーの近くでいきなり車に見たこともない表示点灯。車の調子は悪くないが心配なので確認による。なんとこのタイミングで車のバッテリー交換が必要だといわれる。購入時見たときは確か50万ぐらいはしたのでは。今はずいぶん値段が下がってそれでも13万する。

 そしてまだ間の悪いことに、年末年始のお休みに入る為、交換できるのは26日のみ。

車を置いてゆくこともできず、使ってはいないが空港では取りに行ってもらえない。

もう夕方で時間もない。選択肢をつぶしてゆくしかない。まず夫に送ってもらうという選択肢は絶対✖。次に使っていない軽トラックだ。夫と話をしたくないが背に腹は代えられない。相変わらず嫌な思いはしたが、トラックをゲット。旅行に行く為に手段は選べない。我ながら、この短時間で良くこぎつけたと自分を褒めたい。

 

空港までの時間予想、軽トラックのスピードなど考慮不足で空港手続きギリギリだった。けれどもこの後の空の旅はドラマチックだった。

 

 空港は曇り空で富士山は見えない。機体が小さいので傾きや揺れを直接感じ、

初めはちょっと怖かった。見慣れた街を見下ろしながら雲の中に。そこは一面の雲海。平坦な雲の絨毯ではなくて、ふんわりしたいくつもの凹凸のある世界だった。そこに光が当たり、明暗ができ、白さが一層輝く。その雲の繊細で光沢がある質感まで感じることができる。ここには天井世界があるように錯覚し、降りて歩いてみたくなる。

 

雲が切れると浜名湖が見えた。伊良湖知多半島、伊勢湾、紀伊半島四日市の工場地帯に名港トリトンがかかる。所々の盆地には雲が留まっている。あの盆地はきっと奈良盆地。琵琶湖が見える。大阪湾、淡路島、明石大橋、香川、徳島、しまなみ海道

広島の石油基地はどのあたりだろう。豊後水道は?そしてついに関門海峡が現れる。

地図の上を鳥のように飛んでいた。実物の生きた山や川、街、そこには生きた日本地図があった。

 さて空港に降りたものの、右も左もさっぱり分からん。案内を頼りに聞きまくり、スイカを使えることが分かりチャージ。地下鉄に滑り込み博多駅へ。

 天気は下り坂の為、行きは小倉まで新幹線、小倉から門司港まで普通電車。帰りは小倉から、急行ソニックを購入。初めての九州新幹線。車窓の景色も新鮮だ。小倉までは17分ほど。門司港まで15分。門司港着 10時30分。

 目の前の海峡を船が行き交う。山口県は目の前。まるで川向うのようだ。目印の関門橋はわかりやすいが、人道の場所を何回も聞きながらやっとたどり着く。1キロ程の人道を歩き11時30分下関着。

 

海峡の海流はすさまじく急流で驚く。海峡の前の広場に源義経銅像があり、壇ノ浦の合戦の時、潮流の流れが変わった事で、勝敗が決まったらしい。地元の人に聞くと日に何回か流れが変わるらしい。海面にも高低差があり、外海と高さを調節する為に、流れが変わるらしい。自然の力の凄さを感じた。

 こんなに近くでも本州と、九州。そして山口県と福岡県。地元の人はどんな感じなのか聞いてみた。下関の生活県は小倉方面。でも福岡の人は下関にはあまり来ないらしい。他県というより関門市というイメージらしい。

 

フグを食べらる所を聞き、唐戸市場に向かう。海峡の横を船を見ながら歩く。市場はフグだらけで、お刺身、白子など珍しく面白い。まだだいぶ歩くため沢山は食べられない。フグの天丼はふっくらしていて美味しかった。

 門司に帰る。門司レトロの洋館は私の好きな古いけれど大事にされている感があり落ち着く。普通電車はダイヤが乱れているらしいが、ちょうど来た電車に乗れたので安心して、ここで大きな判断ミスをしてしまう。以外に綺麗な電車なので、このまま乗り換えずに博多まで行こうと思ったばっかりに、大変なことになる。なんとこの快速列車、快速どころか、自転車並みの速度。15時5分発。博多着、17時。途中、乗る予定だった急行ソニックを見ると凄くかっこいい。あれに乗ればよかった。博多駅到着直前、今日の宿泊ホテルが見えて少し安心。

 駅前は見事なイルミネーション。すでに外は暗いので駅ビルでもつ鍋を食べる。こんな感じか。やっと食べれて満足。

 そのあとホテルへ。思っていたよりずっといい感じ。高級感があり、ハーブの匂いが心地いい。部屋やロビーの心遣いも行き届いている。お風呂も天然温泉で気もちいい。

ロビーの係りの男性も感じよくかっこいい。九州の男性はみんな親切。エレベーターに乗った時、必ず女性を先に降ろしてくれる。

 屋台まではバスが便利と聞くが、すごい混雑と渋滞。すぐ後ろに小さい子連れのお母さんが一生懸命子供をあやしている。思い切って声をかけ話していると、前の男性も道を教えてくれた。

 天神は博多駅と同じぐらいの都会で、名古屋並みだった。雨の中何とか入れそうな屋台に着く。そこは思っていたように知らないものどうし話ができる空間だった。祇園祭りで有名な櫛田神社宗像大社を教えてもらう。社交辞令と思いながらも、名刺をもらうことができ、目標達成。充実した一日だった。